飛ぶ気もないのにタンポポは 散り散りになりたがる 時が来たならサヨウナラと 行く宛てもないのに 不埒な風に手をつかまれ この楽園を出ると言う ため池のフナに呑まれるかもしれない 獰猛な獣の尻尾に入り込むかもしれない クモの古巣に落とされエサにもなれず 工事車両の轍に着地するのが 精一杯かもしれないのに それでも ただの一本くらいは 神様が運んでくれるだろう 手を引かれて歩き始めた子供の やわらかな ふとんのような鼻の上に #
by alex_zone
| 2008-05-20 22:31
| 詩
鳴いている親鳥の 声の終わりはいつも判らない 音の包帯は確実に 震えるヒナに届くといい 雨で境をなくした車窓に 額をあてて揺れを聴く 過去に向かって流れる律は 私を弱らせてくれるといい 耳に残る呼びかけも 宵に交差するひとがたも 愛を知る君だけが 気持ちよく聴けばいい たった今 窓外をかすめた 河原の草の輪唱ほど 悲しい聴き物はないと 教えたくても もう見えない #
by alex_zone
| 2008-04-21 20:21
| 詩
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by alex_zone
| 2008-04-11 21:03
| 詩
濡れるほどの雨ももたない 観念の散歩道 ページをめくるように 青葉のカーテンを掃い 活字をひろうように 花のあごを持ちあげて その意味を吸う 香りを放つトンボは 羽化したばかりの救いの思考 ふさわしい翅音をたてて 胸の迷いをさがして食べてくれる 氷が張った朝曇りの水に 冬鳥をまねて足を下ろせば きもちよく割れる 常識という繁茂の鎖 書きすぎて 私のものでなくなった悲しみを 天空が受けた傷口から 流れるひかりで磨くから もういちどここで 裸の言葉を見てほしい 初めてのときのように #
by alex_zone
| 2008-03-24 23:10
| 詩
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